日本で14年間目生活している永住権者を持っている韓国人です。 WEBマーケティングを主な職業としており、日本留学時代から現在までの経験をもとに多くの外国人の方々に役立てればと思い、外国人の日本生活において役立つ情報を掲載しています。

日本の伝統的な踊りの総称である日本舞踊。江戸時代の初期に伝統文化として変化していき、現在は120種類を超える流派があります。今回はさまざまなアーティストとコラボレーションをして日本舞踊を世に広めているしもでまりこさんにお話を伺いました。毎月ワークショップを開き、日本文化イベントとして世界最大規模であるフランスの「Japan EXPO」にも既に参加が決まっている彼女の活動をご紹介します。

Q.『ANICHIBU』とはなんですか?


ANICHIBUとは日本が誇るポップカルチャーであるアニメソングで日本舞踊を踊っているグループの名前です。日本の伝統芸能である日本舞踊を身近に感じてもらうために、2018年1月から活動を開始しました。月に1〜2回のワークショップを行い、様々なアニメソングで日本舞踊を体験することができます。

Q.日本舞踊について教えてください。

日本舞踊とは、日本の踊りであり、能などの先行芸能のエッセンスを取り入れたストーリー仕立てになっている舞踊です。大きく分けて2つあり、歌舞伎舞踊と座敷舞踊があります。ストーリー仕立てなので、役にあわせた振付になっています。日本の伝統芸能は、殺陣も含め腰を落とす、つまり重心を落とす動きです。かかげて、ひねって、ということを先生からよく言われました。やりすぎるとダンスやバレエなどの洋舞の動きに近くなるので違う踊りになってしまいます。

【先行芸能とは】
日本舞踊よりも前からあった芸能のこと。


日本の踊りはかかげてやひねってなど軸が動かないものが基本です。腰を落とすり足の動きは、かかとを離さないのがベース。女踊りは内股で膝を離さないのですが、男性は逆。動きで役が決まります。三つ振りと呼ばれ、首を三回振る動きの場合は、男性だとあまり動かない。子供だと大げさに動かす。袖を持ち上げる位置でもやり方が変わり、若いと手の位置が高め、年配だと低めの位置になるなどがあります。

Q.なぜアニメソングにしたのですか?

もともと声優志望でアニメが好きなこともあり、アニソンで好きな曲がたくさんありました。舞台で共演させてもらった仲の良い声優さんに相談したときに、「アニソンも最近のできた言葉なので、新しいジャンルを作るといい。」とアドバイスをもらいました。その時に自分がやっているものがノンジャンルで、今まであるものを崩している。パイオニアと言うほどじゃないけどそのような立ち位置としてこの活動を行なえると感じたました。入り口としてアニソンであれば、興味がある人も多いし、好きな人も多いと思ってアニメソングに決めました。

Q.ワークショップについて教えてください。


ワークショップは1回完結型です。だいたい1分30〜1分40秒程度の曲を1時間30分くらいで踊れるようになります。初めてでも意外とできちゃうのですごいと感じています。曲は自分がいいと思ったものを使用しています。当日の様子をtwitterでアップしていますが、「めざせポケモンマスター」や「創聖のアクエリオン」は人気です。違う世代の人に好きな曲を質問したりアンケートをとったりして参考にすることもありますが、自分が好きな曲でない場合は使いません。好きな曲は人それぞれなので、ネットでのランキングもあまり参考にしないようにしています。

皆さんの反応はとても気になるので初めて来た人や毎回来ている人に終わった後に声をかけて感想を聞いています。先日使った楽曲は、通常より短いところで曲の切れ目があったので普段より振付を減らしました。初心者にはちょうど良かったのですが、経験者からすると物足りなかったようで、バランスが難しいと感じています。その他には「サクラ大戦の”檄!帝国華撃団”は難しかったけど楽しかった! 」との声がありました。

Q.『ANICHIBU』以外の活動についても教えてください。

倭踊三煩という、バイオリン、サックス、日本舞踊の3人のグループがあります。生演奏に合わせて、即興で踊っていました。曲は『ANICHIBU』と異なるバージョンとして、J-POPから星野源さんの「恋ダンス」のジャズ版、 RADWIMPSの「前前前世」、ショパンの「別れの曲」などをやってました。現在は、みんな忙しくなって休止中です。その他に、和響座の活動も行なっています。殺陣と和文化の融合コンセプトに独創的なその場限りの演目を披露していて、アウトローなメンバーが集まっています。リーダーは殺陣、副リーダーは書芸を担当しています。その他に、阿波踊り、日本舞踊などで構成されています。2019年の7月にはフランス・パリで行われる「Japan EXPO」への出演が決定しています。

Q.コラボすることは大変ではないですか?


倭踊三煩の時に思ったのは、サックスでジャズを演奏する人で、本番の時にステージ上でアレンジをしてくるんです。気分が乗ってきたらフリーで追加してくるので、終わりの尺が決められないのは困りました。この経験から、事前に振りを作っていけない、即興性が要求されているんだと感じました。楽器を演奏をする人は、自分ができる楽曲を増やしていきますが、それに合わせて振付を増やすことについていけず即興スタイルに変化しました。ジャンルが違うとそういうとこんなことがあるんだという発見です。

Q.『ANICHIBU』に参加したいです。

しもでまりこさんのサイトのCONTACTよりメッセージでお問い合わせください。
お問合せ・ご予約
今までは日本人の方しか参加していませんが、海外の方もぜひ参加してください。英語は話せないのですが、動きについては見よう見まねでできると思います。

日本舞踊は基本的に着物を着る必要があるのですが、『ANICHIBU』では動きやすい服装であれば問題ありません。身長160cmくらいまでの人であれば、着物をお貸しすることも可能です。少人数であれば、ワークショップの前に日常着付けをすることもできます。希望する場合は、イベント参加時に、着物を着たいとコメントをくださいね。

Q.今後やりたいことはありますか?

いろんなジャンルとコラボした舞台をやりたいです。古事記の話にフォーカスを当て、ジャンルを超えて創り上げる舞台をやってみたいという構想もあります。ANICHIBUキャラクターのうずめちゃんを入れて面白いものができればと考えています。また、日本文化に関する海外公演を増やしていきたいし、出演していきたいですね。『ANICHIBU』は思いついたことをぱぱっとやっています。オリジナルキャラ、LINEスタンプなど。office小出毬(しもでまりさんの屋号)はいろんなことを試しています。メンバー制を昨年の11月からはじめて、メンバーは通常の人よりリーズナブルに『ANICHIBU』のワークショップを受けれます。また、メンバーには、不定期にイベント情報をシェアしています。

Q.最後に読者にコメントをお願いします。


日本の伝統芸能は興味があるがあまり敷居が高いと感じている人は海外でもいるのではと思います。どこで触れられればいいのか? と思う人もいるので、まずは『ANICHIBU』の動画を見てもらえれば嬉しいです。ワークショップにも是非来てくださいね!

Q.インタビュイー:しもでまりこさん


【しもでまりこプロフィール】
岐阜県飛騨市出身。インプロ(即興)や創作で日本舞踊を踊っております。jazz danceの要素も使った日本舞踊ベースのKIMONOdanceなども展開中。着物文化を世界へ発信していきます。
【参考動画】
あにちぶWS : 「君の知らない物語」化物語
和響座 : 「和文化コラボパフォーマンス」の和響座のPV

〜直近のイベント〜
■『3月9日(土)あにちぶ!ANICHIBU‼ KIMONO DANCERによる日本の伝統(日本舞踊)×オタク文化(アニソン)のジャパニーズかるちゃ〜ぁ☆〜前前前世で全然全部踊れなくても〜』
日程:2019/3/9(土)
時間:14:00~17:00
場所:深川おどり劇場(茶室・檜ステージ付き和空間『深川おどり劇場』)
参加フォーム

■あにちぶ(アニソン日舞)ワークショップ
日程:2019/3/17(日)
時間:19:00〜21:00
場所:東京都世田谷区内レンタル施設
予定曲:「輝きは君の中に」忍空
※風助役の松本梨香さんボーカルver使用予定
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編集後記

実際会う前まではどんな人なんだろう? と思いながらインタビューに臨みましたが、腰が低く穏やかで話しやすい方でした。敷居が高いイメージのある日本舞踊ですが、『ANICHIBU』なら馴染みのある曲に合わせて普段の格好で参加できるので気軽に参加できます。今回日程が合わなくても、毎月ワークショップを行っているので、次回の予定に合わせることも可能です。ワークショップ以外でイベントへの参加もされているので、実際イベントに参加してみるのもいいですね。ワークショップに参加者されている方は、着物を着たい人、日本舞踊を体験したい人はもちろん、殺陣や役者をやっている人が感性を磨くために通っているそうです。日本文化に触れるとともに、休日にあなたの感性を磨いてみてはどうでしょうか?

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